
Now Loading...
陸送屋のコワルスキーは、70年型ダッジ・チャレンジャーをデンバーから1200マイル離れたサンフランシスコまで15時間で届けるという無謀な賭けをした。爆走するその車を追って各州警察が追跡を開始。警察無線を傍受した盲目の黒人DJスーパー・ソウルは、ラジオでその模様を実況中継する。大勢の野次馬やメディアが押し寄せる中、コワルスキーは、ブルドーザーが道路封鎖するバニシング・ポイント<消失点>に向かってアクセルを踏み込んでいく…。
『バニシング・ポイント』は、権力への反抗と現実に敗北する者たちを感傷的に描いた多くのアメリカン・ニューシネマとは一線を画し、作品全体の乾き切った精神性に加え、遡行と跳躍によって非直線的に描かれる【時間】という概念の表現を革新、かつてない高みに達した鮮烈・孤高の雄篇だ。現実に対する底知れぬ虚無と諦念を抱え、速度の限界に挑むコワルスキーの姿は、観る者をスピードの陶酔と快楽の果て、時空も生死も超越した無限の境地へと誘っていく。
初公開時、日本では有楽町スバル座で大ヒット、キネマ旬報ベスト・テンでも第5位という高評価。スティーヴン・スピルバーグ監督はフェイバリットであることを公言し、クエンティン・タランティーノ監督も自作『デス・プルーフ』(07)でオマージュを捧げた。ガンズ・アンド・ローゼズは歌詞に本作の台詞を引用、プライマル・スクリームも同名アルバムを発表するなど、多くのミュージシャンたちにも絶大な影響を与えている。
監督は、『荒野に生きる』『ロリ・マドンナ戦争』の鬼才リチャード・C・サラフィアン。正体不明だった脚本のギレルモ・ケインの名は、現在ではキューバ出身の作家、評論家として名高いギリェルモ・カブレラ=インファンテ(2005年死去)のペンネームだったことが知られている。ラテン・アメリカ文学特有の<魔術的リアリズム>による、オープニングとエンディングが「メビウスの輪」のように繋がった円環的な構成、そして魂の不滅を描いたこの作品の主題に改めて目を向ければ、<カー・アクションの頂点><史上最高のロードムービー><カウンターカルチャー映画の重要作>と謳われてきたこの作品が、それだけでは済まされない画期的な作品だったことが納得されるだろう。約50年ぶりとなる再公開は、映画史に超然と屹立する『バニシング・ポイント』に新たな解釈と評価をもたらす千載一遇の機会となるに違いない。
監督:リチャード・C・サラフィアン | 製作:ノーマン・スペンサー | 製作総指揮:マイケル・ピアソン | 原案:マルコム・ハート | 脚本: ギレルモ・ケイン | 撮影:ジョン・A・アロンゾ | 音楽監修: ジミー・ボーウェン | 編集 : ステファン・アルンステン | スタントコーディネーター: キャリー・ロフティン、ルー・イライアス
出演
コワルスキー:バリー・ニューマン
スーパー・ソウル:クリーヴォン・リトル
砂漠の老人(砂金とり) :ディーン・ジャガー
ベラ:ヴィクトリア・メドリン
チャーリー (若い警官):ポール・コスロ
コリンズ(年とった警官) :ボブ・ドナー
エンジェル:ティモシー・スコット
ヌードのバイク娘:ギルダ・テクスター
歌手たち:デラニー&ボニー&フレンズ
司祭ホバー:セヴァーン・ダーデン
スーパー・ソウルのエンジニア:ジョン・エイモス
ヒッチハイカーの男#1:アンソニー・ジェイムス
ヒッチハイカーの男#2:アーサー・マレット
1971年 | アメリカ |カラー|ビスタ | モノラル | DCP | 99分
キューピッドプロダクション作品 | 20世紀FOX映画
© 1971 Twentieth Century Fox Film Corporation. Renewed.
1999 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
キングレコード提供 コピアポア・フィルム配給
全篇に流れるニューロック
★スーパー・ソウルのテーマ/J・B・ピッカーズ
★俺とあの娘/ボビー・ドイル
★どこへ行こうか/ジミー・ウォーカー
★ウェルカム・トゥ・ネヴァダ/ジェリー・リード
★わがイエス/セガリーニ&ビショップ
★ランナウェイ・カントリー/ダグ・ディラード・エクスペディション
★ユー・ガット・トゥ・ビリーヴ/デラニー&ボニー&フレンズ
★ラヴ・テーマ/ジミー・ボーウェン・オーケストラとコーラス
★ソー・タイアード/イヴ
★表現の自由/J・B・ピッカーズ
★ミシシッピ・クィーン/マウンテン
★イエスへの叫び/ビッグ・ママ・ソーントン
★オーヴァー・ミー/セガリーニ&ビショップ
★バニシング・ポイント/キム&デイヴ
公開日 | 地 域 | 劇場名 |
---|---|---|
北海道 | ||
上映終了 | 札幌市 | シアターキノ |
6月9日 | 函館市 | シネマアイリス |
上映終了 | 苫小牧 | シネマ・トーラス |
東 北 | ||
上映終了 | 仙台市 | チネ・ラヴィータ |
上映終了 | 山形市 | フォーラム山形 |
上映終了 | 福島市 | フォーラム福島 |
関 東 | ||
上映終了 | 新宿区 | シネマート新宿 |
上映終了 | 千代田区 | ヒューマントラストシネマ有楽町 |
上映終了 | 豊島区 | シネマ・ロサ |
上映終了 | 墨田区 | Stranger |
上映終了 | 武蔵野市 | アップリンク吉祥寺 |
上映終了 | 立川市 | 立川シネマシティ |
6月3日 | 世田谷区 | 下高井戸シネマ |
上映終了 | 豊島区 | 新文芸坐 |
上映終了 | 横浜市 | ムービル |
上映終了 | 川崎市 | 109シネマズ川崎 |
上映終了 | 厚木市 | あつぎのえいがかん kiki |
上映終了 | 柏市 | キネマ旬報シアター |
7月2日 | 深谷市 | 深谷シネマ |
上映終了 | 那珂市 | あまや座 |
5月26日 | 宇都宮市 | 宇都宮ヒカリ座 |
上映終了 | 小山市 | シネマロブレ |
上映終了 | 高崎市 | シネマテークたかさき |
甲信越静 | ||
6月3日 | 新潟市 | シネ・ウインド |
上映終了 | 上越市 | 高田世界館 |
上映終了 | 長野市 | 長野ロキシー |
上映終了 | 静岡市 | 静岡シネギャラリー |
上映終了 | 浜松市 | シネマe_ra |
中部・北陸 | ||
上映終了 | 名古屋市 | 名古屋シネマテーク |
上映終了 | 刈谷市 | 刈谷日劇 |
上映終了 | 豊橋市 | ユナイテッド・シネマ豊橋18 |
5月12日 | 伊勢市 | 進富座 |
5月27日 | 富山市 | ほとり座 |
上映終了 | 金沢市 | シネモンド |
関 西 | ||
上映終了 | 大阪市 | シネマート心斎橋 |
上映終了 | 大阪市 | 第七藝術劇場 |
上映終了 | 堺市 | MOVIX堺 |
上映終了 | 京都市 | アップリンク京都 |
上映終了 | 神戸市 | cinema KOBE |
上映終了 | 神戸市 | cinema KOBE アンコール上映 |
上映終了 | 尼崎市 | 塚口サンサン劇場 |
6月9日 | 宝塚市 | シネピピア |
中国・四国 | ||
上映終了 | 岡山市 | シネマ・クレール丸の内 |
上映終了 | 広島市 | 横川シネマ |
6月10日 | 尾道市 | シネマ尾道 |
上映終了 | 高松市 | ホールソレイユ |
上映終了 | 松山市 | シネマルナティック |
九州・沖縄 | ||
上映終了 | 福岡市 | KBCシネマ |
上映終了 | 中間市 | ユナイテッド・シネマなかま16 |
近日公開 | 佐賀市 | シアター・シエマ |
上映終了 | 熊本市 | Denkikan |
上映終了 | 大分市 | シネマ5 |
上映終了 | 鹿児島市 | 天文館シネマパラダイス |
上映終了 | 那覇市 | 桜坂劇場 |
八方ふさがりの諧謔が
暴発し、乱反射しながら
この狂った世界を突っ走っていく!
やってらんねえんだよ、クソッタレ!!
心優しき人々に出会い交わりそんなすべてにサヨウナラ!
乾いた大地は潤わない!乾いた奴らにゃ涙も出ない!
ひとりの男が巻き起こす静かで熱狂のカーチェイス!
圧倒的映像とイカした音楽に抱かれて俺たちは死んだ。
そしていま、50年の眠りから蘇る!
さあ劇場へ走れ!かっとばせ!遅れをとるな!先いくぜ!
窮屈な時代にウンザリしてる全人類よ!
終わりのはじまりが幕を開ける!
さあ、スーパーソウルを響かせろ!!
大好きな映画で最高のモーター映画なのだが、いまほど心に響いたことは無かった。
『この地球最後の美しい自由な魂』
始まりが終わりのバニシング・ポイントをつっ走るコワルスキーは神話の中を生きる殉教者だった。
大胆不敵で、詩的で、完全なる自由へ連れて行ってくれる映画。
こういうアクション映画には滅多に出会えない。
何度も見たくなるループの仕掛けと、圧倒的なカースタントの技術、
善とも悪とも言えない複雑な人間模様、全てに心を奪われた。
子供の時に感じていた映画への純粋な没入感と
晴れやかな気持ちを思い出させてくれました。
'消失点'へと爆走するダッジ・チャレンジャーは誰にも止めることはできない。誰にも。
テレビモニターやPCの画面で、あなたはコワルスキーの走りを目撃することができる。
だが、劇場のスクリーンでは、あなたも共に'走る'のだ。
そのリズムに乗り白いダッジ・チャージャーが荒野を走る。黒いエネルギーで加速する白い暴走。もちろん暴走はノーフューチャーである。
そんな70年代に幻視された西欧白人社会の終末/週末の映像は、まさに幻視された未来である今ここを反転させて半世紀前へと引き戻し、われわれの現在地を示すだろう。
The J.B. Pickersの“Freedom of Expression”が流れ出し、車体とドライバーの意識が一体となって、
メビウスの輪がぐるりとまわり中心点で交差した瞬間、一気呵成に消失する、
その映画的なカタルシス! 1971年、ニューシネマはここにその思想性と超現実主義、
スピード、アクションとロックンロールの理想的な融合を果たした。
そして21世紀――主人公の魂は今もアメリカ荒野を疾走し続けていた。